熊本県町村議会議長会は
平成30年3月 総務省「町村議会のあり方に関する研究会 報告書」
「集中専門型」・「多数参画型」・現行議会
選択制に 全国議長会は反対
議員のなり手不足を背景とした小規模市町村の議会のあり方を検討することを目的に、総務省に設置されていた「町村議会のあり方に関する研究会」(座長・小田切徳美明治大学教授)は、平成30年3月、その報告書を取りまとめた。
報告書では、持続可能な議会を実現するため、現行議会を維持することに加えて、少数の専業的議員から構成する「集中専門型」と、多数の非専業的議員から構成する「多数参画型」、いずれかの議会のかたちを条例で選択できるようにすることを提案した。
それに対し全国町村議会議長会は同月、パッケージ化した制度設計や議決事件を限定することに反対する意見を表明した。
今回の報告書の内容をたたき台に、近く地方制度調査会において具体的な法改正事項について検討される予定。
【総務省「町村議会のあり方に関する研究会 報告書」】
【全国町村議会議長会「町村議会のあり方に関する研究会 報告書に対する意見」】
新しい2つの議会のあり方−「集中専門型」、「多数参画型」
議員のなり手が不足している小規模市町村では、より多くの住民が市町村運営に参画することで、住民自らが議会機能の発揮に一定の役割を持つといった視点、また議員報酬のみで生計を立てていけないにもかかわらず、他の職業との兼業はしにくい実態があることを踏まえ、なり手不足対策として2つの方向性を示した。
① 「集中専門型」議会
少数の専業的議員による議会構成とし、豊富な活動量を想定。生活給を保障する水準の議員報酬を支給する。
女性や若者などの多様な民意を反映させ、住民が議会活動に関わる経験を得られる仕組みとして、裁判員と同様に、有権者からくじその他の作為が加わらない方法で選ばれる「議会参画員」制度を設ける。
議会権限は地方自治法96条1項を維持し、積極的に同条2項の議決事件の追加を活用し政策形成に関与する。
議員の請負禁止も維持し、議会運営も現在同様平日の昼間を中心とする。
本業を別に持つ多数の非専業的議員による議会構成とし、生活給の保障はしない。
契約・財産などに関する議案を議決事件から除外するのと合わせて、議員の請負禁止を緩和する。
議会運営は通年会期制により審議日程を分散し、夜間・休日議会を中心とする。
現行議会のあり方も維持できることを前提に、新しい2つの議会のあり方を条例で自由に選択可能とする。
類型化したパッケージに反対 自治体が選択できる制度を
研究会が報告書を取りまとめたことに対し、全国議長会は意見を公表した。
意見では、「集中専門型」と「多数参画型」という2つの議会のあり方がパッケージで示されたことに対し、地方議会を取り巻く環境は地域によって異なり類型化はできず、議会改革への取り組みに水をさすと指摘し、パッケージではなく、自治体自身が個別に選択できる選択肢を増やすべきと主張している。
また、議決事件を限定することは首長と議会とのバランスを失い、二元代表制が形骸化すると指摘し、首長独裁とならない仕組みを検討することが不可欠とした。
あわせて、町村総会の弾力的運用についての研究や現場からの声の重視、町村に限定せず地方議会全体の課題として議論すべきなどと主張した。
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